技と心と自然
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最終更新日:2014/04/27
京都ってこんなとこ, 頑固おやじのひとり言
英国のプロダクトデザイナーに京都の技の案内を頼まれ、工芸センターの専務理事にスケジュールを組んで頂きました。
著名な方で京都には何度かお見えになっているようでした。
竹工、漆塗り、錫工、木象嵌、かざり金具、茶筒の工房におじゃまいたしました。
同行させていただき、始めて見学させていただく所ばかりで、そこのご主人に説明をお聞きいたしましたが、すべてが手仕事で、素材を吟味され、その性格を熟知され、欠点を技術でカバーされていました。
何十年、何百年の老舗ばかりでした。ご主人の商品に対する並々ならぬ熱意が伝わってまいりました。
何百年同じ物を作り続ける職人根性を継承されているのは、素晴らしいものでした。
今奈良で1300年祭をされ、渡来の宝物等が展示されていますが、こんな精密な物は現代では出来ないだろうと言われておりましたが、まだまだそれの上を行く技術の有る方が現在おられるとの事でした。
うるし塗りや、金工も下地作りに多くの時間を費やし、長い年月保つようにと鍛錬されています。特に最高級品は神社仏閣におさめられるので「手抜きはするなよ、神仏はお見通し」と職人を諫めながら教育をされる様です。
神社は式年遷宮(20年30年毎)があるので、一度終わると、翌回の為の準備を始め、10年前から、技の手慣らしを始められる様です。
単年度決算ではなしに、生涯決算で考えないと出来ないことですね!だから、信用が無いと注文もお聞きする事が不可能ですね。これが老舗の所以だなあと再認識しました。
又、御輿の修理等をするためには、漆、木工、金具、組紐、織物、金箔、彫刻等の技術者がかかわり、御輿そのものが文化財、祇園祭りの鉾が動く美術館と言われるのも良く分かりました。 しかし、最近の植物素材は農薬に汚染され、弱くなり、わらじも作れないようになって来たと嘆いておられました。
写真は、神社の錠前です。鍵穴を探し差し込んで開けるのは、一苦労です。
明治維新(1866年)から144年、急速な経済の発展の為に、永年日本を築き上げてきた技、心、自然が変遷しているのが現状です。中国が発展と引き替えて無くしたものを見れば、日本人にとっても反省になるでしょう。