京の粋な懐

私の大学の同期で、彼の友人の陶器屋さんのお父さんの影響で、学生の頃、お茶屋さん遊びにはまり、会社に勤めてからも足しげくお茶屋に通い、 『常磐津巴博太夫 柏貞君一』という名取になった御仁がおります。決して上手とは思えませんが。

トップページの右でお座敷遊びの動画をごらん下さい。唄っているのが当人です。

座敷に通っては、芸妓さんが唄っているのを箸紙等に書きとめた物が、35年間でたまりにたまっている。
このままでは勿体無いので本にしたい、と相談されました。

「さのさ、都々逸、小唄」と言われても初めはさっぱり分からず、実際に聴いたら、「ああ、これね」という感じでした。
歌詞を見ると情景が浮かび、これは面白いと思い、協力することに致しました。

「♪ うちかてもね 好きで舞妓はん してんのんと 違うんどすぇ
あそこにおいやす あの人が 辛抱してと いわはりますさかいに うちかて つらいのんですけど 辛抱してんのんどすぇ ♪」

舞妓さんは、昔、旦那さんが見受けするまでは、芸妓さんにはなれませんでした。旦那さんにはそれ相応の見出しが必要なんで、 用意に手間取っている間、我慢してねと言われている情景です。

「♪ この中に 私の好きな人 ただ一人 年も言えなきゃ 名も言えぬ そして 皆さんの ねえ知った人 言えば世間が 邪魔をする ♪」

歌舞伎役者にほれて相思相愛だけれど、他人に知られると厄介な事になる。フライデーされたら困るという昔版ですねえ。

三味線の調子は繰り返しで皆で順番に替え歌をして遊んでいたんです。

カラオケの流行によって段々無くなっております。
CDを作らないと分からないんでCD付きの本にしました。
聞いてみて下さい。なかなか乙なものですよ。

先日、東京の30代の友人に聞かせたら、「面白いし一曲覚えて東京で披露したい」と言っておりました。

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